「あけましてなんとか!」1月1日・西成公園もちつき大会&のどじまん大会・報告

釜ヶ崎のとなりにある鶴見橋商店街の、長い長いアーケードをくぐって歩くと、その突き当たりに西成公園はある。JR新今宮の駅からだと、20分から30分くらい。越冬闘争で毎年恒例になっている、西成公園もちつき&のどじまん大会に参加してきた。朝8時過ぎくらいに到着してしばらくすると、釜ヶ崎大阪市内の各公園などから人々が集まってきて、薪を割ったり、もち米を蒸し始めたり。もちつきが始まると、公園の住人も続々と集まってくる。新年ということで、お酒もふるまわれ宴はたけなわ、尺八を吹き始める人もいる。指名制で次々にまわってくるマイクにどきどきしながら、即興の伴奏つきでカラオケ大会が始まった。もちはやっぱり大根と醤油だね。

西成公園は、うつぼが潰され、長居も潰されたいま、現在野宿者のテント村が残っている数少ない公園のうちのひとつだ。現在も、日々テントの排除が続いている。西成公園の東側の入り口を入ると、そこには驚くべき、異常な光景が広がっている。公園の中へと続く道の両側に、有刺鉄線つきの網のフェンスが張られているのだ。フェンスの向こう側を見ると、中には芝生が広がっており、休憩所があり、遊具が並んでいる。いたって普通の公園だ。いばらのような棘のあるフェンスがあることを除いては。フェンスの中には公園事務所が握っている鍵がなければ、足を踏み入れることもできない。これは、大阪市が公園内にテントを張ることができないようにするために設置したもので、生活上の拠点確保、あるいは寒さや雨露をしのぐためにテントを張る野宿者と「市民社会」とを分つための、端的にいって「分離壁」、アパルトヘイト・ウォールなのだ。公園内に4年前に初めて西成公園に足を運んで、この光景を目の当たりにしたときは、最初ちょっと信じられない思いだった。これが「公園」というものか?向こう側の排除の論理が、行政と野宿者の間の軋轢がこれだけわかりやすく、物理的に目に見える形で現れているところもない。強制排除の波状攻撃は、ここ数年毎年のように行われた大阪市による寒空の下の大規模なテント村破壊という形ではあらわれていないものの、今でも、ずっと続いている。
参考:近況報告
公園職員の法的根拠にすらよらない暴力的な小屋破壊は今までも行われてきたし、代執行による排除とセットにした常套手段とでも言っていいような状況にある。今年の秋も、西成公園において、中で生活している人のいる一軒の小屋がフェンスで囲まれて破壊された。西成公園のテントも、有形無形の圧力をかけられて潰されつづけ、私が最初に来た4年ほど前と比べても、だいぶ減ってしまった(それでも今でも200軒以上の小屋がある)。小屋が潰された後には、工事用のフェンスが隙間のないようにギッチリと張られてしまう。そして、誰も使うことのできないデッドスペースが確実に増えていく。西成公園には大きなシェルターがひとつあったのだが、劣悪な条件の中、シェルターに入る希望者が減り続けた結果、閉鎖した。その跡地も広大な空き地になっており、草がぼうぼうの生え放題になっている。工事用のフェンスで囲ってしまうことによって、テントがあるのが「異常」な状況であるとして行政はプロパガンダの手をゆるめず、生活の陣地を毎日のように削られていきながら、その中で生活を続け、生きていかねばならない西成公園の住人たちがいる。ここ数年でも、大阪市内の各所の強制排除を経て西成公園に流れついて生活を始めた方も沢山いる。
年末から続くイスラエル軍によるパレスチナガザ地区空爆が続き、大規模な虐殺が続いているが、パレスチナで行われてきたことと、ここ西成公園で行われていることを重ねずにはいられなかった。イスラエル人入植者によって土地を徐々に奪われ、生活する場所を包囲されなすすべがないまま狭められていき、殺されていくパレスチナの人々。空爆や砲撃だけが殺人なのではない。人々の黙殺や差別に囲まれたなか、寒さや襲撃などから身を守り、生活拠点を確保するためのすべとしての小屋やコミュニティを解体されていくということは、その人が生きていけるかどうかの問題であり、奪われていくのは人の命なのだ。
http://0000000000.net/p-navi/info/
焚き火を囲んで公園の住人に話を聞いていたのだけれど、西成公園のあったあたりというのは、かつて厳しい労働を強いられていた女工さんたちの働く紡績工場だったのだそうだ。その幽霊が出るとか出ないとかいったことがうわさされていた。公園内で首をつって亡くなっていった人の話も聞いた。
予断の許さない状況がつづく西成公園に今年も注目をおねがいします。私たちも、排除に抵抗する動きに呼応して、動いていきたいと考えています。とにかく一人の人でも声をあげていく人が必要です。行動があるときはまたお知らせしていただきたいです。テント破壊と排除、国の殺人行政に抗議の声を!